インクルーシブ・リーダーシップ(論文要約)とバイデン新大統領誕生について
論文名: Inclusive leadership: Realizing positive outcomes through
belongingness and being valued for uniqueness
(インクルーシブ・リーダーシップ:帰属感とユニークさを認めることによる成果の実現)
著者:Amy E. Randela, Benjamin M. Galvinb, Lynn M. Shorec, Karen Holcombe Ehrharta, Beth G. Chunga, Michelle A. Deana, Uma
出版: Human Resource Management Review (Elsevier), 2018
ダイバーシティだけ実現してもインクルーシブ経営を実現できなければ、企業に混乱がもたらされるだけになる。
そこで、「インクルーシブ・リーダーシップ」の概念を提示し、それが成果に結びつくまでのメカニズムを解き明かすのが本論文の目的である。
本論文のストーリーは下記のチャートで示されている。
つまり、
①リーダーの個人的要因
・ダイバーシティの価値への信念
・謙虚さ
・認知の複雑性
がインクルーシブ・リーダーシップに影響を与える。
②インクルーシブ・リーダーシップは次の5つの行動からなる。
Ⅰ 所属感を促進
1) グループメンバーへの支援
2)公正性と公平性
3)意思決定への参加機会の提供
Ⅱ 独自性の価値を示す
1) ワークグループへの貢献の奨励
2)グループメンバーが独自の才能や視点を十分に発揮することへの支援
③ インクルーシブ・リーダーシップはメンバーのインクルージョンの認識にポジティブな影響を与える。
④メンバーがワークグループ内での高いインクルージョンを認識している場合、メンバーは自分のワークグループに強く共感し、心理的にエンパワーメントされていると感じている可能性が高い。
⑤メンバーのインクルージョンに対する認識は、ワークグループのアイデンティティを通じて、行動の成果(例えば、創造性や仕事のパフォーマンス、離職率の低下等)に影響する。
というフレームワークである。
まさに、昨日誕生した、アメリカでバイデン新大統領とハリス副大統領はインクルーシブ・リーダーシップを取ることができるか否かが試されている。トランプによって分断された国民に対して合衆国への所属感を促し、彼らの国民としての価値をという行動をとり続けることで、国民を統合することが求められている。
そして勝利演説においてそれは成功したように見られる。この先も難関が待ち受けているだろうが、彼らの動向を見守ってゆきたい。
バイデン氏が勝利演説 「分断でなく結束を目指す大統領になること誓う」
【米大統領選2020】 ハリス上院議員の勝利演説 子どもたちにメッセージ