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2020年4月より国内ビジネススクールで勉強中。学習内容を中心に読書記録、徒然なる思いを記録するブログ

【読書メモ】両利きの経営

書名:両利きの経営 「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

著者:チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン

出版:東洋経済新報社 2019年刊

 

日本では2010年代後半に入山章栄氏が広め、ビジネス界に定着した「両利きの経営」論。原題はLead the Disrupt - How to solve the Innovator's Dilenma(破壊を導け イノベーターのジレンマを解決する方法)である。

 

両利き性については、マーチ氏が提唱した概念をオライリー・タッシュマン両氏が展開し、近年特に注目されているテーマである。

 

イノベーションにおける経営者の果たす役割は極めて大きい。

私自身も色々な組織に所属し、「今ここ」のビジネス環境で洗練されたオペレーションを追求するあまり、外部環境の変化を軽視し、サクセストラップに嵌っている組織をいくつか経験した。そのような組織は結局のところ、経営者の視野の狭さや行動力の低さに起因していたと感じる。

 

「両利き(ambidextrusity)」という言葉で,経営に大切な概念を提示することは新鮮であった。「二兎を追う」という失敗を象徴する言葉が、難しさと、逆説的な大切なことである。

同時に学生時代にヘーゲル哲学を学び、弁証法的な思考法に親近感を感じている自分には取っ付きやすく、腹落ちすることが多かった。

 

以下、原則やポイントを中心に抜粋する。

 

シアーズ、ポラロイド等の没落事例の教訓ー「探索を正当化し促進するところに上級リーダーたちの重要な役割がある」。両利きの経営ではリーダーは優れたリーダー(探索)かつ優れたマネージャー(深化)である必要がある。

Amazonやネットフリックスの事例からは「調整」と「実行」の重要性を学べる。探索と深化では調整のやり方を変えることが必要である。

 

 

両利きの経営を実行のためにリーダーに求められる3つの行動

①探索事業が競合に対して優位に立てるような資産や組織を既存組織から突き止める。

②深化事業から探索事業への横やりから経営トップが守る

③探索事業を組織から正式に切り離す

 

両利きの組織を導くための原則

1.心に訴えかける戦略的抱負を示して、幹部チームを巻き込む
2.どこに探索と深化との緊張関係を持たせるかを明確に選定する。
3.幹部チーム間の対立に向き合い、葛藤から学び、事業間のバランスを図る。
4.「一貫して矛盾する」リーダーシップ行動を実践する。
5.探索事業と深化事業についての議論や意思決定の実践に時間を割く

 

戦略的刷新をリードするための方法

1.成長に向けて感情移入のできる抱負を定める
2.儀礼的な文書化された計画プロセスではなく、対話として戦略を扱う
3.今後起こることをおしえてくれる実験を通じて成長する
4.リーダーシップコミュニティを刷新的活動に巻き込む。少なくとも幹部チームがかけてくるものと同等の圧力が、ボトムアップから生じるようなプロセスを設計する。
5.実行するための規律を持たせる。刷新は一夜漬けの仕事だと甘く見てはいけない。

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上記をみると両利きのリーダシップに大切な要素は

・心に訴えかけること

・組織内の軋轢を恐れないこと

・対話と実行し続けること

なのではないか、と感じた。