【メモ】企業変革力 Dynamic Capability(DC)の強化
以下は経済産業省の製造基盤白書(ものづくり白書)2020年度版からのまとめ
ちなみに本白書は事例も豊富で、ビジネスの教科書として非常によくできている。
Dyanamic Capability(以下、DC)はカリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール教授のデイヴィッド・J・ティース氏によって提唱され、近年注目を浴びている概念。
「資源ベース論」(RBV)をさらに発展させ、自社の強みを持続的に維持するために変化に対応して事故を変革する能力のことである。
企業のケイパビリティはオーディナリ・ケイパビリティ(以下、OC)とDCに分けられる。
「OC=物事を正しく行うこと」。ただし、OCのみでは企業は競争力を維持できない。
理由:ベストプラクティスは模倣される。想定外の変化に対応できない。
そこで「DC=正しいことを行うこと」が重要になる。
この正しいことを行うためには3つの能力が必要であるとしている。
①感知(Sensing)
②補足(Seizing)
③変容(Transforming)
これによって自社の資産を再構成し、強みを顧客ニーズと一致ささることができる。
資産の再構成の意義の説明にあたり、ティースは「共特化(co-specialisation)」原理を強調する。
共特化とは、2つ以上の相互補完的なものを組み合わせることによって、新たな価値を創造することである。
例:PCのOSとアプリケーション、自動車とガソリンスタンドなど。
ダイナミック・ケイパビリティとは、環境や状況の変化に対応するために、共特化の原理に従って、組織内外の資産を再構成し、新たな価値を創造することともいえる。
DCを重視する企業は、OCも重視する。
OCを重視する企業は、OCが劣後しやすい。
(事例)富士フィルムHD
「両利きの経営」の代表格である同社が、自ら変化を作り出してきたことが良くわかるのが下記のステップである。世界で初めてデジカメを開発したのは同社である。事業同士のカニバリを恐れずDCを発揮してきた。
①ステップ1 変化に対応
2000年代にカラーフルㇺ需要の急減に対応し、事業構造を転換。
②変化を予測し、先手を打つ
M&Aなど事業への投資を実行。
③みずから変化を作り出す
ナンバーワンの分野で新たな価値を創造
他にも上記のような日本企業を見出し、研究し、それを実務に生かしていきたい。