【読書メモ】「事業を創る人」の大研究
書名:「事業を創る人」の大研究
著者:田中聡、中原淳
出版:2018年 クロスメディア・パブリッシング
世の中にありそうでなく、かつ、自分の実務にも研究にも役立ちそうな本であった。
企業の内側から新規事業を創ることの難しさを、人と組織の側面で実証データに基づき論じている。
特に、組織よりも新規事業に関わる人の経験や情意にフォーカスされており、共感の連続、もっと言えば、自身の新規事業で苦しんだ悶絶経験がヒリヒリと思い起こされ、読み進めることが困難になる瞬間さえあった。
というのも、個人的に直近2年間に渡り取り組んできた新規事業が中止という、まさに生傷が半癒え時期でもあるからだ。次のステップも決まり、整理はできつつあるし、個人的なリフレクションに深みを増すことができた。しかし、今年の春から夏にかけての私は本書でいうところの「廃人」そのものだった。
まさに社内の前後左右の「敵」と闘い、事業化を阻まれ、世に出すことなく終結という決定がなされた。半年前には想像だにしなかったことが粛々と進められ、抵抗虚しく受け入れざるを得ないところに追い込まられた。
この様な事態に陥るメカニズムを渦中で身を置くという、ある意味貴重な体験であった。
幸運なことに、この先環境を変え、新天地で次のチャレンジの機会を得ることができた。本書の学びをしっかりと反芻し、生かしていきたい。
個人として、心にとどめておくべきは、
アイデアや構想よりもむしろ「組織の中でうまく物事を進めるために他者を巻き込む力」が、新規事業の成功を左右する真のカギ。
である。
控えめに言って、他者にも色々なパーソナリティ、モチベーションがあることが分かった。
個のスイッチを押すことを意識してこの先また頑張っていこうと思う。
それから企業内の新規事業を創る人と、ゼロから事業を創る人の違いを研究してみたいと思った!