Life! -Go where nobody goes-

2020年4月より国内ビジネススクールで勉強中。学習内容を中心に読書記録、徒然なる思いを記録するブログ

未来予測することの大切さを教えてくれる本 ジャック・アタリ 文明論講義

 

 

ユダヤ系フランス人の思想家・経済学者にてミッテラン大統領の特別補佐官や欧州開発銀行の初代総裁を務め、欧州最高の知性と称されるジャック・アタリ

2016年 ちくま学芸文庫

 

権力の歴史は未来を見通す力を獲得することと同義と言っても良い。人類は予言や予知といったものから、科学や金融の技術を発展させることで予測の技術を獲得しようとしてきた。しかし今日、資本主義、社会主義、民主主義といった「歴史の大義」は何も実現できず、代わりに出現したのはコンピュータの巨大企業だ。いくつかのインターネットガリバーは大量のデータを学習し、解析することで未来を予知することが可能になった。そして著者はゆくゆくは保険企業とデータ管理会社が人々の生活のリスクを予測し、生活を支配することになるだろうと考える。そしてそのような社会はコンピュータが自己の有用性のために向かっていく社会であり、そうなった場合、世界は破滅に向かうと述べる。

 

そうならないためにも個人がコンピュータの支配から逃れ、自己の自由を獲得するために未来を予測することが大切であると主張する。そして、そのためには個人が自分自身の未来を予測する習慣を持つべきであある。そのさいにどれだけ先の範囲の予測するのかをまず決め、自分自身のアイデンティティ、生命、環境、友好関係、そして「どうなりたいのか?」の五段階で考えるとよい。

そして考える際には、以下の質問を自らに投げかけると良い。本書よりママ抜粋する。

・自分にとって不変の要素はなにか。

・これまでに、自分に起こった重要な出来事を正確に予測したことはあるか。これまでに、個人的なことも含め、予想もしなかった大きな出来事に驚いたことはあるか。そのとき、あなたはどう反応したか。そこからどんな教訓を得たか。それらは事前に予測できたと思うか。自分の過ち、臆病さ、欠点、成功、落胆から何を学んだか。

・自分に起きる、あるいは自分に影響をおよぼす可能性のある出来事の未来について、論理的帰結を導き出す訓練をしているか。
・自分の肉体、精神、能力を維持し、大切にするために何をしているか。スポーツはしているか。病院で定期検査を受けているか。研修を受けているか。毎月何冊の本を読んでいるか。
・学ぶことは好きなあなたにとってうれしい驚きは何か。自分にとってまったく馴染みのない新たな変化を、少なくとも挑戦として受け入れる心構えはできているか。とくに自己に対して批判の精神を維持するために、何をしているか。
・将来、自分にどんな出来事が起きるのかを考えたことはあるか。個人的あるいは仕事上のことでも、あなたが暮らす国や世界で起きることであっても、一年後、五年後、二十年後に何が起きるかについて自分の考えをもっているか。
・最悪のシナリオを想定しているか。自分に起きるかもしれない最悪の出来事とは何か。それらの最悪の出来事の一つ一つに対処する準備ができているか。
・他人の自分に対する態度をよく見ているか。それらの人を、友人、パートナー、関心のない人、競争相手というように区分しているか。自分の敵や競争相手を記したリストを常に更新しているか。

・二十年後の計画はあるか。五年後ならどうか。来年までに達成したいことのリストはつくったか。3ヶ月後までの毎週の予定を把握しているか。

 

本書はアタリの論考については何も書いていない。ただ未来の予測しながら生きていること指南書である。しかし読むに十分値する本ある。

怠惰にならず、毎日5分でも、時間のある時には30分、真摯に自己の未来と向き合う時間を確保し、破滅的にならず自由を手にする生き方をしていきたい。

 

https://amzn.to/2Q6faD0