GMT-MASTER Ⅱ
この時計を買ったのは2000年くらいだったと思う。当時社会人4年目、会社で働き続けることに将来的な展望を見出せず、恋人とも別れ、資格の勉強に精を出したりもしたけど合格できず、仕事もプライベートも充実していなかったサラリーマンだった。
せめていい腕時計を購入して人生を好転させたいと願い、高級時計と言えばROLEX、くらいの軽い感じだった。ただROLEXを買おうと決めてからは革命家ゲバラが愛用したという雑誌の記事が頭にあり、どのモデルにするかに関しては迷いがなかった。
黒赤のベゼルが仕事のシーンに合うかは少し気がかりだったが、付けた瞬間、自分の中に力強さ、華やかさといった自信をもたらしてくれたと思う。
これまでオーバーオールのメンテナンスには2回出していてそれなりに維持費もかかっているけど、十分それに見合う価値があると断言できる。
この時計とともに社会人人生のいくつかの大きな変化や決断を乗り越えてきた。そしてこれからもそうしていくつもりだ。ゲバラには遙か及ばないけれど、少しでも格調高く、理想を求め、時には自分なりのやり方で強く戦いたい。
そして歳を重ねても、生きている限り使い続けたい。そして死後は家族にメンテナンスをしながら使い続けてもらえれば最高だ。