エリン・メイヤー 異文化理解力 外国人と働く人の必読書
2015年 英治出版
私も日本の多国籍からなるメンバーがいる職場で働いた経験があるが、当時のストレスや衝突を本書を読んでいれば回避することもできたのではないかと思う。
本書によれば、国や地域よって歴史的に育まれた文化的な相違があり、これらを理解し、適切に対処することで異文化環境で働く場合も成功しやすくなる。
この文化的な傾向の違いは八つの指標で位置付けることができ、各国の特徴を「カルチャーマップ」として表現すると分かりやすい。
八つの指標は
①コミュニケーション…ローコンテクストvsハイコンテクスト
②評価…直接的なネガティブ·フィードバックvs間接的なネガティブ·フィードバック
③説得…原理優先vs応用優先
④リード…平等主義vs階層主義
⑤決断…合意志向vsトップダウン式
⑥信頼…タスクベースvs関係ベース
⑦見解の相違…対立型vs対立回避型
⑧スケジューリング…直線的な時間vs柔軟な時間
からなる。
文化間の相対的な関係が重要とされているものの、日本はこれらの指標で
ハイコンテクスト
間接的なネガティブ・フィードバック
階層主義
合意志向
関係ベース
対立回避
の極側に位置づけられている。実際には組織の業種、大小、トップの志向に左右されることも多いと思うが、経験的には多くが当たっていると感じる。
日本人が海外ビジネスで成功していくために、英語学習ばかりでなく、こうした知識と対応スキルを身につけることで失敗を回避でき、スピードが上がっていくと思う。