【読書メモ】世界で最もイノベーティブな組織の作り方
書名:世界で最もイノベーティブな組織の作り方
著者:山口周
2013年 光文社新書
・イノベーションは新参者から生まれる。
例:フィレンツェにおけるルネサンスの開花。メディチ家が多様な人材をフィレンツェに集めた。
・聞き耳のリーダーシップを発揮している程度は、組織のモチベーションやコミットメントに強い相関がある。
・「予告された報酬が内発的動機を低下させるという」(デシ)→人に創造性を発揮させる場合、報酬は逆効果である。
例:エンロンの不正
・イノベーションの源泉は強烈な動機である。
例:好奇心駆動型(アムンセン)VS 課題優先型エリート(スコット)
密造酒作り的な取り組み(北極点を目指すための資金に投資した投資家を欺き、南極を目指す)、準備の周到さなど、すべては動機の強さが源泉。
・ヘイグループの研究からは、大型のイノベーションに向けて組織を動かす人材は、達成動機よりもむしろ高いパワー動機を持っている傾向が明らかになっている。
・開発段階で用途市場は明確化できない場合もある。
例:エジソンの蓄音機。発明時点では何に使えるのかよく分かっていなかった。
例:レヴィ=ストロースの「ブリコラージュ」(あとで役立つかもしれないという予測の能力)
・個人のリーダーシップが鍵
「イノベーションへの旅」(ファン・デ・フェン)
①きっかけ
②プロセス
③計画・管理
④環境変化
⑤経営トップ
⑥政治
七転八倒が当たり前
ケネディはCIAの強硬な主張によるピッグス湾を中止させることができなかった。
引用:
国家 の 命運 を 左右 する 重大 な 意思 決定 を 短期間 に 行わ なけれ ば なら ない という よう な 場合、 それ を 担う 立場 の 人 には 強い ストレス が かかり ます。 その ストレス から 早く 逃れる ため に、 熟慮 する こと なく 意思 決定 しよ う と し ます。 そして それ を 合理化 する ため に、 自分 たち が 行っ た 意思 決定 の 良い 側面 にばかり 目 を 向け、 真に 重要 で 本質的 な 点 を「 わざと」 見過ごし て しまう よう になり ます。
「 凝集 性 の 高い 集団 が 外部 から 閉鎖 さ れ た 状態 で 重大 な 意思 決定 を 行う 場合、 この 集団 の 意思 決定 の クオリティ を 左右 する のは リーダーシップ の あり 様 次第 だ」 という こと です。
ケネディは学習し、翌年の再び起きたキューバ危機に際して偉大なリーダーシップを発揮することとなる。
集団浅慮の要因を排除するための工夫を行った。
(排除)集団凝集性の高さ→(工夫)議論をかき回す役割を与える
(排除)外部からの孤立→(工夫)実情に詳しい専門家を入れる
(排除)リーダーシップの弊害→(工夫)あえて参加しない
(排除)問題解決のストレス→(工夫)結論をひとつにまとめる必要なし
・イノベーションの普及スピード
エベレット・ロジャース(イノベーター理論)が普及スピードを決める5つの要因を特定。
①相対的優位性
②両立可能性
③複雑性
④試行可能性
⑤観察可能性
上記のうち、特に①と②の要因の影響が大きいと考えた。
・賢い意思決定を行う集団に見られる四つの特性
「多様性(バックグラウンドの異なる人々の集まり)」
「独立性(他者の意見に左右されない)」
「分散性(自分なりに情報を取得する手段がある)」
「集約性(意見をひとつにまとめるメカニズムの存在)」
・リーダーの役割は「共感力のあるビジョン」を示すこと
共感あるビジョンには「Where」、「Why」、「How」が必要である。
旧約聖書の出エジプト記では、モーセはヤハウェから「乳と蜜の流れる地=カナンへ行け」と示され、ブーブー言うイスラエルの民を率いていくことになります。途中で海とエジプト軍に挟まれて進退窮まったときなど「お前のせいでヒドい目に遭った。こんなことになるなら来るんじゃなかった」と言われてリーダーシップが崩壊するような状況も経験することになるわけです(中略)リーダーシップの本質の一面は「移動」にあり、その必然的結果としてリーダーは常に「行き先」を示すことが求められる。
組織の中でイノベーションを起こすのは本当に難しい。失敗の原因を総括すると人と組織の問題に行き着く。そして人と組織の問題を要因はリーダーシップの不足に起因する。
苦い経験を繰り返さないためにも、人と組織の問題への対応を身に付けよう。