まとめ モチベーション理論の変遷
人のモチベーションが成果に影響しているのは疑いようのないことに思われる。
その時々のモチベーションで仕事への向き合い方が左右されてきた経験は多くの人にあるだろう。
モチベーションが何に起因しているのか、米国を中心に50年以上に渡り実証的研究がされてきた。
その理論の変遷をまとめてみた。
マズローの欲求段階説
提唱者 マズロー(1908ー1970)
特徴 人間の多様な欲求を5段階に整理
内容 生理的欲求→安全の欲求→社会的欲求→尊厳欲求→自己実現欲求
ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)
提唱者 F. ハーズバーグ(1950-60年)
特徴 仕事に満足感を感じる要因と不満足を感じる要因は全く別物である
内容 不満要因(衛生要因)をいくら取り除いても、満足感を引き出すことにはつながらず、不満足感を減少させる効果しかない。仕事の満足感を引き出すには「動機づけ要因」にアプローチしなくてはいけない。
マグレガーのX理論とY理論
提唱者 D.マグレガー(1950年代)
特徴 動機づけにかかわる2つの対立的な理論による人間観
内容
X理論:人間は生来怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしない→アメと鞭による管理
Y理論:人間は本来進んで働きたがる生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題解決をする→自主性を尊重する管理
ヴィクター・ヴルームの期待理論
提唱者 V.ヴルーム(1964)
特徴 人は期待値を計算することで合理的に行動を選択し、主観的に効用を最大にするようにする
内容
個人が報酬に高い価値を認め、努力すれば報酬が得られると感じる期待が高ければ高いほど、人はより一層努力する。
1.魅力ある成果の設定(Reward)
2.成果を実現するのに必要充分な目標値の設定(Goal)
3.目標値を実現するのに必要充分な戦略展開(Efforts)
マクレランドの欲求理論
提唱者 D.マクレランド(1976年)
特徴 人には達成動機(欲求)・権力動機(欲求)・親和動機(欲求)の3つの主要な動機ないし欲求が存在する
内容
1.達成動機(欲求):ある一定の標準に対して、達成し成功しようと努力する
2.権力動機(欲求):他の人々に、何らかの働きかけがなければ起こらない行動をさせたいという欲求
3.親和動機(欲求):友好的かつ密接な対人関係を結びたい、という欲求
エドワード・デシの内発的動機
提唱者 エドワード・デシ(1975)
特徴 外発的報酬は内発的な動機づけを低下させる
内容 パズル実験により証明。報酬・脅迫・目標の割り当て・指示命令・競争が効果を押し下げる(アンダーマイニング現象・アンダーマイニング効果)。内発的動機には、有能性・自律性・関係性の3つの欲求が影響している。
以上が主な理論の概要である。マネジメントとしては、達成・成果を感じられるようにゴール設定すること、内発的動機に働きかけるようにコミュニケーションを工夫したい。
一プレーヤーとしては、周囲の環境にモチベーションを左右されすぎないように注意したい。