まとめ リーダシップ理論の変遷
リーダーシップ理論については、経営学では基礎事項となっているけれど、ビジネスパーソンでちゃんと学んだことのある人は少ないのではないだろか。
かくいう私も、ビジネスを研究者たちが長い時間をかけてリーダーシップについて実証研究してきたことを最近になって知つた。リーダーシップについて何も理解することなくマネジメントの仕事をしてきたことに愕然とした。基本的なフレームを押さえておくことで、防げた失敗も多いのではないかと思っている。
そこで経営学におけるリーダーシップ理論の変遷をまとめた。是非、自分のリーダーシップへの理解と、あなたの環境と照らして適切なスタイルが取れているかチェックしてみよう。
特性理論(~1940年代)
- 代表的研究者 ストックデイル
- 特徴 リーダーの資質=先天的な特性
- 内容 知性・行動力・信頼感・社会的態度・人気などがリーダシップの要件
- 課題 優秀なリーダー特性は同一ではない
行動理論(1940~1960年代)
- 代表的研究者 三隅(PM理論)、ブレーク=ムートン(マネジリアル・グリッド論)
- 特徴 リーダシップの機能=課題達成と人間関係の維持のための行動
- 内容 理想的なリーダーは課題達成と人間関係維持の双方に優れている
- 課題 状況によって有効な行動は変わる。
状況適合理論(1960~1980年代)
- 代表的研究者 フィードラー(コンティンジェンシー理論)、ハウス(パス・ゴール理論)、ハーシー=ブランチャード(SL理論)
- 特徴 取るべきリーダーシップスタイル=条件により変化する
- 内容 優秀なリーダーは内外の環境によってリーダーシップスタイルを変化させている
- 課題 状況を要素分解し、取るべき行動を分析的に検討する必要がある
コンセプト理論(1980~現代)
- 代表的研究者 J.P.コッター(変革型リーダーシップ)、R.グリーンリーフ(サーバントリーダーシップ)、B.ジョージ(オーセンティック・リーダーシップ)、B.バス(トランザクショナル・リーダーシップ/トランスフォーメーショナル・リーダーシップ)
- 特徴 適材適所のリーダーシップ
ビジネス環境とリーダーの行動の適合についての研究が進み、環境に合ったスタイルが明確になっている。
一方で、環境変化のスピードが上がり、リーダー自身で自らの行動を環境に対して適合させることが求められるようになっている。
「リーダーシップに正解はない」という文の意味するものは、正解となるスタイルがない、ということである。むしろ、状況に合わせて行動して変えることは「正解」なのである。