読書メモ ジョブ理論 クリステンセン教授
ジョブ理論
ハーパー・コリンズ 2017
クレイトン・M・クリステンセン
なぜあの商品は売れなかったのか?
イノベーションのジレンマの著書による21世紀のベスト・オブ・ビジネス書
刺激的な副題と帯のフレーズが並ぶが、原題は
Competing against luck
The story of innovation and customer choice
である。
理論の骨子は、顧客が商品A を購入するということは「片付けるべき仕事」のためにAを「雇用する」ということである、というものだ。
ビッグデータは顧客から誰かは教えてくれても何故買うかは教えてくれない。
数値化できない因果関係にこそ、成功するイノベーションの鍵がある。
自社製品も他社製品も買っていない無消費者こそ取り込め。
最も重要だと感じたのは、下記の記述である。
ジョブ理論は、プロセスを何に合わせて最適化するのを変えるだけでなく、成功の尺度も変える。業績の評価基準を、内部の財務実績から、外部的に重要な顧客ベネフィットの測定基準へと移す。顧客の行動について集めたデータは、客観的に見えてもじつは偏っていることが多い。データはとくに、ビッグ・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを買うとき)だけを重視し、リトル・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを実際に使うとき)を無視している。ビッグ・ハイアが、顧客のジョブをプロダクトが解決したことを意味する場合もあるが、本当に解決したかどうかは、リトル・ハイアが一貫して繰り返されることによってしか確認できない。
企業は継続して活用されているかどうかを業績の評価基準とすべきなのである。
追記
クリステンセン教授は2020年1月23日に逝去されました。
謹んでご冥福をお祈りします。