読書記録「イシューから始めよ」
イシューからはじめよ知的生産の「シンプルな本質」
2010年英治出版
課題解決の教科書のような本。著者はマッキンゼーを経て、SFC教授とYahooのCSOを兼務している才人。
出だしから、シャープな言葉で身につまされる警句のオンパレードである。
ー考えるとは、悩むことではなく、答えが出ることに向き合うことである。
ーバリューのある仕事に集中しなければ、成果を上げることができない。
そして本書にはバリューのある仕事をするための方法論が詰まっている。
本書では、本質的、かつ、重要度の高い課題をイシューと呼ぶ。何をイシューとするかで成果が決まると言っても過言ではない。
そして良いイシューには3つの条件がある。
1.本質的な選択肢である=答えを出す質問を設定する
2.深い仮説がある=スタンスを取る
3.答えを出せる
このようなイシューは本当に限られている
イシュー特定のための情報収集には、一次情報を得る、基本情報のスキャンする、などがあるが、同時に「集め過ぎない・知り過ぎない」ことも大切。
イシュー特定のための5つのアプローチ。ここは本当に実用的。
1.変数を削る
2.視覚化する
3.最終形からたどる
4.So what?を繰り返す
5.極端な事例を考える
イシューを定めたら、分析である。その手順は
1 イシューを分解する
2 イシュー起点でストーリーラインを組み立てる
3 ストーリーを絵コンテにする
で行う。
分析を進めるにあたってしてはいけないことは、いきなり分析に取り掛かる(飛び込む)こと。
「空(前提)・雨(課題の深堀)・傘(結論)」で考える。
よく見かける分析風な議論として
雨で終わっていること(傘が無い)、
いきなり空から傘だけが提示される、
がある。これらは時間のムダになるので、今すぐやめよう。
仕事においては、分析はアウトプットとして伝えなければならない。
ストーリーラインと論理構造は入念にチェックしつつ、エレベーターテストに備えておく必要がある。エレベーターテストとは
・結論をすみやかに説明できること
・細部をどこから訊かれても説明できること
である。この2つは、説得の成否を分ける大きな要素である。
繰り返しになるが「イシューを見極める=答えを出すべきものの本質を定めること」が仕事において大切なことである。
今、自分が取り組んでいる事業開発の仕事に活かせるのはもちろん、最近考えている大学院進学に向けて研究計画のテーマ設定のために重要な示唆を得ることができた。