アクション・バイアス 組織は目的こそすべて
書名:A bias for action
ハイケ・ブルック、スマントラ・ゴシャール著
野田智義訳
2015年 東洋経済刊
副題として、「自分を変え、組織を変えるためになすべきこと」とある。目的の定まらない行動であくせくと忙しくすること(著者はこれをアクティブ・ノンアクションと呼ぶ)は、害にしかならない、という耳が痛くも大変勉強になる本。
翻訳の野田智義氏、帯の推薦者(藤森氏、新波氏)とも重厚な布陣。著者のスマントラ・ゴシャールはすでに没しているが、組織戦略論の権威で欧米・インドの大学で要職を務め、研究者、経営者に大きな影響を与えた人物とのことである。
以下、内容
マネージャーの行動の4つのタイプがあり、
1.髪振り乱しタイプ40%
2.先延ばしタイプ30%
3.超然タイプ30%
4.目的意識タイプ10%
組織にとって最も有害なのは1のタイプ。
そして事を成し遂げるのは4のタイプ。
マネージャーが目的意識を持った行動を自由に取らせるには経営トップによる組織文化づくりが欠かせない。
最近、麹町中学校の工藤校長の取り組みが脚光を浴びているが、共通したものを感じた。学校には目的に合致しない決まりや活動が山ほどある。そして工藤校長は学校教育の目的とは自律した存在を育てることという信念のもと、目的なく存在している全ての取り組みを廃止した。自律していない人間は、自ら考えることなく行動する。そして思い通りにいかないことについては、他人のせいにしてしまうからである。
組織とは目的を共にした人の集合である。目的に反する、あるいは目的を欠いた行動をしてはならない。