Life! -Go where nobody goes-

2020年4月より国内ビジネススクールで勉強中。学習内容を中心に読書記録、徒然なる思いを記録するブログ

組織開発の入門書

入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる

南山大学教授 中村和彦

光文社新書 2015

 

ボチボチと続けている経営組織論の読書。今回のテーマは組織開発Organization Development である。

 

組織開発とはアメリカで1950年代に生まれた人と組織の関係性に働きかけるアプローチ。

例えば、ダグラス・マグレガーは、X理論が命令と監督による管理手法であるのに対して、Y理論は自己統制と自発性を重んじるマネジメント手法に大別される、とする。組織開発はY理論に基づいた人と組織のマネジメントアプローチである。

 

近年、日本でも多様性のある組織マネジメントが求められるようになったことから組織開発の必要性が高まっている。


組織開発の代表的な働きかけとしては
1.戦略的働きかけ
2.技術・構造的働きかけ
3.人材マネジメントによる働きかけ
4.ヒューマンプロセスへの働きかけ

がある。
また、アプローチ方法としては
診断型組織開発
対話型組織開発

に分けられる。


組織開発の取り組み方法
1 リーダー養成型組織開発
例として、GE独自の手法があげられている。
マネジリアル・グリッドー人に対する関心と組織に対する関心のマトリックス(9x9)ーを活用する。
経済的価値と人間尊重の同時最適解を探るのである。

この取り組みを成功させるためには、
・理想的なリーダー像のモデルを浸透させる
・リーダーが職場で実践するための仕組みをつくる
・人間的側面の軸を組織のトップが重視する

ことが求められる。


2 パートナー型組織開発による取り組み
チェンジ・エージェントが組織外に存在。組織開発の多くのプロセスがこの手法によってなされてきた。データ・フィードバック、プロセス・コンサルテーション、対立解決セッションという手法がある。

 

最後に、組織開発を進めるために注目されているAI=アプリシエイティブ・インクワイアリは社会構成主義の「言葉が世界を創る」(クーパー・ライダー1980年代後半) という考え方をベースにしている。できないことに目を向けるのではなく、できることに目を向けることを重んじることが必要。

 

これからの日本社会はますます人材と人材への育成時間が慢性的に不足することとなる。それを克服するには経営トップと一人一人のマネージャーが自分ごととして組織開発の必要性を十分に認識しておかねばならない。