高橋俊介先生の人材育成論
2013年 PHP新書
キャリアの計画的偶発性理論に基づく「自分らしい」キャリアプランを説く著者の書籍に自身も過去に大きな影響を受けた。
本書はブラック企業が社会問題化した時期に、あるべき日本企業の人材育成戦略について論じている。
日本企業の人材育成力は弱まっている。産業構造が急激に変化に伴い、ピラミッド型組織が変質し、これまで得意としていた技能伝承型のOJTが機能しなくなっているからだ。
産業の中心がものづくりからサービス業中心に移行し、これまで強みとしていた人材育成手法が通用せず、また若年層にやりがいも与えられず、定着率が低くなってしまった。
データによると、社員の退職理由として最も高いのは上司との関係性である。
上司の役割は仕事の指示のみならず、内省的支援と精神的支援が重要になっている。マネージャーは部下のモチベーションを高め、成長実感を感じられるようにすることが求められる。
それとともに企業はビジョンを明確にし、どのような人材を求めるかを定義することで、育成方針が定められる。これが経営としての大切な決定事項である。