組織戦略本2 組織戦略の考え方
沼上幹著
2003年 ちくま書房刊
発刊は15年以上前の新書なのに、未だに色あせない、企業組織についての古典と言える本。
▪️要約
「官僚的な組織」*(注)という表現は、悪い意味でしか使わないが、本来、官僚制はミスに強く、効率性の高い組織である。
マズローの5段階欲求が誤って解釈されている。自己実現欲求は満たされることはない、というのがマズローが訴えたかったこと。
大切なのは承認欲求である。頑張った人を承認する。
集合材とフリーライダーの問題は組織にとって避けられない問題。中間層を厚くすることが必要となる。すなわちエリートになれなかった人材をフリーライダー化させない仕組みである。
組織が安泰な時期が長くなると内向きの調整思考と決断不足が蔓延する。決断不足に陥った組織の徴候は3つ。フルライン・フルスペック、経営改革検討委員会の増殖、人材育成プログラムの提案である。いずれもトップが決断できない場合に起こりうる。
組織には権力を巧妙に利用する者=キツネの権力の使い手が現れる。部門間の調整が難しい場合であっても調整専門のポストを用意すべきではない。その調整専門の役割がキツネの権力を持つリスクの方が大きいからだ。
組織が腐敗化してくる兆候は社内手続きの複雑化と社内の言葉遊びが増えること。内向き思考と暇な秀才が無駄な仕事を作るようになるからである。処方箋は優秀な若手の抜擢による組織改編しかない。
どれもとっても耳の痛い話。トップが認識していれば良いのだが、そうならないから、どこの組織でも大なり小なり当てはまるのだろう。
だからこそ経営や組織開発を志向する立場であれば絶対に押さえておきたい。
マックス・ウェーバー 官僚制の条件
階層化構造
公式な意思決定ライン
組織的な分業 → 部門ごとの担当業務の明確化
意思決定権限のルールによる定義
業務のルーティン化