組織戦略本1 組織能力のハイブリッド戦略(高木晴夫)
しばらく組織戦略論についての本を集中的に読んことにする。
まずは、「組織能力のハイブリッド戦略」
高木晴夫著
2012年 ダイヤモンド社刊
著者の高木氏は慶應MBAなどで教鞭を取り、日本国内のケースメソッドの第一人者。
日本企業は人ベース・・・組織に採用された人が仕事の範囲を広げ、仕事を作り出す(ヨコ方向)
米国企業は仕事ベース・・・仕事が定義され、その仕事に必要な人が採用される(タテ方向)
これからのグローバル社会で日本企業が戦ってゆくためには両者のハイブリッド戦略が求められる、といのうが本書の主張。
グローバルな競争環境のなかで企業が持続的に成長するため組織能力は
①環境変化の方向と度合いを事前に見通す能力
②経営活動の方向性を意思決定する速さ
③決定されたことを実行する速さ
の3つ。
アメリカ企業はタテ方向の組織DNAを特徴としていたが、80〜90年代の不況を克服するため、フラット化などヨコ方向の良さを取り入れ、復活していった。
一方で元来、人ベースのヨコ方向の展開を得意としていた日本企業だが、バブル崩壊をきっかけとして、組織のフラット化と成果主義を取り入れていった。しかしそれはリストラと賃金の抑制策に直結し、組織に閉塞感や疲弊感をもたらす要因となった。
さらに筆者が時間をかけて、上場企業163社を対象として調査すると、多くの日本企業は仕事ベースの組織戦略に必要な制度を導入するのではなく、多くの企業は人ベースの制度強化に向かってしまったように見受けられる。
そこで筆者はいくつかの日本の代表的な企業を取材し、人ベースの基盤とする組織能力に仕事ベースのエッセンスを取り入れようとしている取り組みの中に、ハイブリッド戦略の可能性を感じ取る。
「人ベース」の組織はしがらみが多く、ともすると組織能力そのものの劣化に繋がりやすいリスクをはらむ。そこで人ベースの組織能力に仕事ベースの要素を取り入れたハイブリッドな組織能力を作るべきである。
日本企業の組織DNAは新卒一括採用と終身雇用制に象徴される人ベースの組織文化にある。しかし、少子高齢化やグローバル化に伴う市場環境の変化のスピードに対応する必要がある。歴史的に組織は自身が持っていないものを取り入れることで強くなってきたのであるから。
#組織戦略本